レッサーチートさんのレビュー

　国、世界と家族を守ったウェルたちに、ようやく「まともな」褒美が出される第28巻！ 　人の足を引っ張る貴族、狂った魔族を打倒して。ようやく平穏を得たウェルは、幸せを手に入れる。あらすじを読んだ時には「半独立している領主貴族が、それはないでしょう」と思いましたが。 　不良債権を押しつけられ、性根の腐った貴族に関わるリスクを考えると。賢明で楽しくて、かけがえのない選択だと言えます。余計なフラグもあるようですが。 　他にも魔族打倒における、真の功労者に恩返しをしたり。web小説では出番の少ないアキツシマの祝賀や発展エピソードあり。 　それと完璧聖女で正妻のエリーゼ様が弱点を披露します。オトナになって、スルーしましょう。 　

　かけがえのない戦友、尊敬できる上司に、まっとうな騎士団（ボンボンも一部在籍） 　そんな魔物討伐隊に悪夢と破滅をもたらす、食事事情を打ち破れ!! 　晴れた乾燥地帯で野営できる、冒険者などぬるすぎる。雨天、湿地帯の過酷な野外で、消耗していき。モンスター討伐はそれから・・・という討伐隊にエールを送りたい。 　とはいえ雨に関しては、ダリヤの発明でだいぶ改善し。食事事情を改善する、携帯コンロにとりかかる6巻です。試しに使って昼酒を楽しんだり。戦友、兄弟に同僚たち、男同士のやり取りが多めです。暑苦しいやり取りは、まあ少なめ？ 　そしてヴォルフとイヴァーノ二人に成長あり。4巻？のやらかしは繰り返さない、備えに笑い。「フェルモさんもお茶目だな～」と思いました。 　 　

　八男ヒロインの中で、最もトラブルメイカーのカタリーナが襲来する。　 　メンバーの中で最も騒々しく遠慮がない。魔闘士エリーゼを超える悪役令嬢？が登場する第13巻！ 　名をあげるためヴェデリンに勝負を挑むカタリーナ。その第一印象は悪く、「泣かせてやりたち」と思う人も多いでしょう。 　だけど競争を通してわかる、その実態は？人に歴史有りとは言うけれど。「子供時代のヴェデリンたちは一応、保護されていた」とわかり。「カタリーナ程度ならまだ、まっとうだ」と思ってしまう社会がヒドイ。 　とはいえメインは楽しい競争であり。貴重な冒険者としての活動を楽しみましょう。そしてカワイソウな護衛のエルに、エールを送ります。

　学校ごと（事実上の）集団転移をした、ウェポンゴーレムという異色作のクライマックスです。 　悪辣な黒幕邪神に対抗するため。「剣」を鍛え、連携を確認し、想いを交わす。王道の熱い展開はしっかり抑えているものの。それだけで終わらないのがダイ・ソードという作品です。 　人を侮るモノは足下をすくわれ。「しつこい、しつこい、しつこい!!」の叫びは、不安の裏返しか。敗北の予感なのか？ 　欲を言えば、もう少し「ドラゴン」に活躍して欲しかったですけど。誰もが意地を見せ、一矢を報いる。勝利のカギは必見であり。読後に元気をもらいました。

　「チート魔術で敵を圧倒し。女の子を助けて主人公はハーレムを作る」 　そういうweb小説の定番な主人公という面もあるけれど。ケントはそういう無双チートとは一線を画します。 　訓練のせいもあって、世間知らず×好戦的になったガキ共の面倒を見る。艱難辛苦が確定してしまう第7巻です。 　はっきり言ってスキンシップで癒やされないと、やってられない。過酷な異世界を、誠実さで抗うケントは魔王の中で頭一つぬけていると思いました。 　欲を言うなら、冒頭の元女騎士フリーデには助言をいただきたい。ドノバンさん、カルツさんたちのような兼業ではなく。「彼女には専任のアドバイザーになってほしい」と感じました。

　メタルヒーローのチャレンジ作品です。従来通り主人公が、悪の組織と戦うのが物語の半分をしめ。 　もう半分はヨロイ、ロボット、モンスターに機甲師団という。四系統の敵部隊がときに争い、ときに協力する。 　最も悪の組織から離脱者が出た異色作であり。卑劣と勇猛、欲望とプライドが入り乱れる、敵キャラクターのドラマが魅力的です。 　なおメタルダーの外見からキカイダーを連想される人もいるでしょうけど。後のジバンなどと同様に、関連はゼロですので悪しからず。

　メインは決戦前の支度と前哨戦です。 　偽聖女のマリエが叫んで、号泣し。乙女たちはそれぞれの涙を流す。さらにリオンが勘違い貴族・騎士たちに引導を渡し。 　ようやく不毛ないさかいが決着して、まとも？に戦争が始められるという。厳しい乙女ゲー王国の11巻です。 　これらだけでも頭が痛い内容ですが。極めつけはハート型のジャッジマシーンであり。最悪の「さらし台」を兼ねるメンタルクラッシャーの存在です。 　5人の貴公子は平気なようですけど。最下位の4倍、二位に9ポイント差つけた「彼」に決めれば。少しはマシな未来に・・・なるといいですね～ 　王様、王妃様が使い方を示し。乙女二人の瞳から光が消え。そして転生兄妹の阿鼻叫喚が響きわたる。そんな力を持つロストアイテムを見物しましょう。　

　転移した異世界は複数種類の人食いモンスターがいる、危険なエリアであり。そのうえ主人公の婦女子には無双チートなどありはしない、という。サバイバル待ったなしの、第1巻です。 　とはいえ表紙の足下にいる妖精キノコ？のサポートもあり。親子オオカミ？と同居する幸運によって、半ばスローライフとも言えます。呑気なキャンプはできませんが、妖精キノコ？とのかけあいが楽しい。 　そうして一年の期限が来て、旅立ちとなり。厄介なスライムのせいで、不眠のサバイバルを経て。荷物持ちの冒険者と出会い・・・・・ 　再会やら親子オオカミのあつかいとか、この世界の住人とか。個人的に2巻が気になる作品です。

　前巻の不届き者たちを操っていた。黒幕ヴェパルとの決着をつける第二巻！！聖騎士シャスティルのポンコツは少なめです。 　「タイトルに反し、見てられないポンコツなのはバルバトスなのでは？」・・・と言いたくなる。 　そんなチンピラ魔術師の元へ、紳士な魔術師が来訪し。好条件と大望を列挙して、契約をもちかけてきます。それに対するバルバトスの返答は如何に？ 　危機意識があるバルバトスは、多分おそらく賢いのでしょう。だけど先見の明がある賢者は、あんな言動をしないと思う。本編主人公の魔王ザガンと比べても、アレはひどいと思いました。 　そして一応、コメディ外伝なのだから。モブ下っ端たちにも、ささやかな情けを望みます。

　「リリィ嬢だって負けていない！」と叫びたい。 　高飛車スカーレットのライバルにして、同じステージ立てる貴族令嬢。親友？・・??にしてキーパーソンのリリィ嬢の過去を描く第9巻！ 　彼女に足りなかったものは、あがくこと。「もう少しだけ愚かに、あきらめ悪く行動しても良かったのでは？」と読後に思い。 　同時にクールで孤高で慈愛がありすぎたために、戦友を得られなかった。「あのスカーレット」よりも、貴族との社交性で難ありのため。賢すぎるがゆえに単独行動を選択したのが、彼女の敗因？だと思いました。 　もっともあの偉業を「無駄死に」と嘲られる。そんな思考をできる者は、負け犬の未来が確定しているでしょうけど。 　心が揺さぶられる、惜しい「ヒロイン」でした。

　忠義のためなら、法律を破り、凶行に走り。誹謗中傷のデマを流して、冤罪をかけてOKという、狂気の物語です。コレがすばらしいなら、大国の歴史事情で小国を侵略するのも、大義のためとなるでしょう。 　とはいえ私はテロリストと同じように、暴力をふるう気は一切なく。名君である吉良上野介公に縁のある者として、歴史の真実を明らかにし。仇討ちを騙ったテロル浪人共に、問いかけたい。 　「同じコトをされても、文句はないな？」 　デマは流しません。歴史の真実を明らかにするだけです。

　武力と知力の両方で最弱に近い、善治郎が大海原に出航する第18巻！ 　そんな善治郎にできることは、考えること。配慮し、危機感をいだき、思慮を重ねて、活路を見出す。その熟慮は女王アウラの覚悟すらも、越えていき。 　凡人、一般人に活力をもたらす。チート嫌いには、必読の書だとお勧めしたい。 　コミックな分、テンポが小気味よく。とはいえ原作書籍で、思惑や外交事情も読み返したい良作です。

　時代劇などで多い「忠義の赤穂浪士が、悪者の吉良上野介を成敗する」という話とは異なり。若者の大石主税（ちから）が悩み迷いながら、討ち入りに参加するまでの話です。 　そして仇討ちに参加しなかった、浪士たちの悲哀を描き。江戸時代に取り潰された、諸藩の武士たちの生々しい実情を教えてくれます。 　歌舞伎や映画の浪人は、少し貧しくても活力がありますが。あれはフィクションなうえに、浪人の家族に女人が少ない。その理由に、冷や水を浴びせられました。 　なお「吉良上野介公を擁護したい」「吉良家の領地にも住民がおり、子孫がいる」という者がいることを、作者先生はご理解しており。忠臣蔵の発端となった、浅野内匠頭が激高した理由に「なるほど」と思いました

　主人公バルドにとって、最大の危機が決着する11巻です。 　これ以降は人材、高性能兵器やチート能力のどれかで、勝率がそれなりにありますが。寡兵で兵器も微妙な防衛戦は、机上演習なら敗北必至であり。 　危地に放り込んだバカ王には、恨み言しかありません。そして援軍の皆さんには、しっかり恩返しをしたい。 　なお、この作品の特徴として、命をかけて戦う戦士を尊ぶのはけっこうですが。 　「命をかけていれば、どんな非道をしてもいい」というような、免罪符を乱発しているようであり。「略奪、暴行と殺戮を行う侵略者は、相応の報いを受けろ」などと考える。器の小さい、執念深い人にとっては消化不良に感じるかも。（私のことです） 　とはいえ複数巻に及ぶ、大防衛戦が決着するのは圧巻であり。古参のweb小説に敬意を払って、☆４の評価をつけました。

　今回のお菓子作りは巻末の箱のみ。その代わり悪辣貴族を徹底的に蹂躙する。富も名声も奪い取り、自業自得の引導を渡すX巻です。 　海賊討伐の傭兵依頼も詰めの段階となり。あとは黒幕貴族に、事実上のとどめをさす。「いかに戦果をあげて、利益を吸い取る」という段階になっています。 　損して得取れ。先を見すえて、ビンボ－・・・ボンビーノ家に莫大な投資を行うペイスは、まさに神童で悪魔と言えるでしょう。他にもいくつか余録があり「甘ちゃんボンビーノ子爵はどれだけ利用されるのかな～」と思いました。選択の余地はありませんが。 　なお今回は女狐レーテシュ伯の上をいったと言える。互いに利益を得ていますが「ペイスの勝利」と判定したくなりました。

　立場が違えば、考え方も違う。吉良家に縁のある現代人と、赤穂浪士47人の正義が異なるのは当たり前だ。 　そう考える人は、ご説明を願いたい。表紙の槍にぶら下げられた、袋の中身は何でしょう？ 　答えは名君で、冤罪をかけられ、遺体を辱められた。吉良上野介公の御首級です。 　江戸時代に仇討は数あれど。戦国時代よろしく首を切り落し。あげく主君の墓前に捧げた者が、どれほどいるでしょう？ヤクザ映画ですら、まずしません。 　そんな凶行に走った連中が、名誉の切腹など。泰平の世が聞いてあきれます。 　とはいえ同じコトをやり返しては、テロリストと同レベルであり。この場を借りて、歴史事実を明らかにするだけです。 　それでは、どうぞ忠臣蔵を楽しんでください。

　異世界はパラレルでアナザーワールド。「だったらあんな人型モンスターも有りなのかな」という感想をいだいた、どたばた冒険譚です。 　冒頭の「剣を入手する」話が、珍しい魔術or儀式？で興味深いです。同時に「武器屋、鍛冶屋さんは、たまったものではない」と思いました。 　 　コメディーですけど、グレーゾーンなところも多い。冒険者の色々を考えたくなる作品です。

　話すドラゴンはワガママを告げ。甘味狂いのシュゼル殿下は、そのはるか上を突き進む。 　「のんびりご飯を作って・・・いないよね？」と言いたい第6巻です。 　ドラゴンとの関係、スイーツ関連で重要フラグが積み重ねられていく。そういう点ではおとなしいけど。 　シュゼル皇子の笑顔が、スイーツカラーの情報を抜き取っていきます。表紙と巻末のスイーツは3品？は彼を止められるのか！ 　他にも下手物食いのエピソード有り。それに伴う楽しいカクテル「は」、作って飲んでみたくなりました。

　冒頭から水上豪邸に住めるようにしか、見えない。女冒険者6人を喜ばせつつ、ハーレムは彼方に遠い。観光×冒険譚です。 　コショウ貿易も順調な中で、探検を行い。ボス不在の洞窟奥には「価値＋厄介」なお宝有り。 　商売素人のワタルと冒険者パーティーが、それをどう売りさばくのか。お宝に伴う厄介事を、どうやり過ごすのか。 　幸運と奸知の、どちらも大事だと思いました。正論だけでは詰んでしまう。 　そして巻末では、もやし主人公にはきつい出来事が開幕します。手綱は無理でも、せめて制限をかけられますように・・・そんなエールを送りたくなりました。 　

　基本スペックの低い種族に産まれたニャンゴが、レア属性を活かすべく。考えながら成長していく物語です。1巻はまだ修練を始めたばかりですが。今後の成長を確信させる、片鱗が見られます。 　リアル要素のあるファンタジーで、体重差やモンスター肉は都合良く消滅しません。「努力すれば急成長する」などという成長チートは無し！偏見と悪ガキ有り。 　だけど優しく強い先達や隣人に支えられ。ニャンゴの応用力で驚かしたり、教えられる。硬軟剛柔の入り混じった世界で、冒険を楽しみたい。 　ニャンゴがレア属性を活かし、成長するのも楽しみですが。浅はかor親切な人々、お礼をする年長者が住まう。リアル系？幻想世界がどう広がっていくのかも楽しみです。