tenjdさんのレビュー

前巻から予感されたように、お父さんの病状は重いもので、これまで互いに確執もあったけど解りあいたいという描写が、この期に及んでも続くのです。 恋人で好き、は自分のことを好きでいて欲しいと思うのだけど、肉親で好き、はそれに加えて、好きでいたいと思うのだ。子どもが、虐げられてても、親に好きでいて欲しいと思うらしいのを、いじめられてて思うのか？と首をかしげたくなるけど、肉親って、好きでいたいと思うものなのだろう。親が無償の愛なら、子どもだって見返りがなくても愛するのだ。それが、どうしたって絶対手に入らないと思うまでは。 私、自分が自分の子ならこんな子いやーと思うけど、こんな子、産んで育ててくれただけでありがてーと思う。それなりに成長するまで育てるには、いくばくかの愛情も必要やろうし、親って因果なものだなーと、そこは多大に感謝。生まれてよかったと思うかどうか、それはまた別のハナシ。

楽しいなあ。いっしょに病院に行ったベットとティナはそのあと・・・　いやーん、好きぃっ！と思っちゃう。 少女マンガのよう、というのは最高の賛辞なのだけど、なんでここまでそう思うのか。 碧眼の人が演じるから・・日本の見知った俳優さんだと、演技してない時のことまで思い浮かんで、ドラマに入り込めない、はある。 同性愛だから・・レズビアンのコミュニティのある街が舞台で、日常生活の描写にあまり現実感がない、はある。 現実に引き戻されることのない設定を、碧眼の女優さんたちが、恋愛要素を凝縮、濃厚に演じるLの世界は、まるっきり夢物語を楽しむことができます。私を幸せな気持ちにしてくれる少女マンガ（含むBL）を、実写で見せてもらってる気分です。

外国のものって、大味だと思っていたのだけど、違うわ、驚いてます。 ベットが、ティナのことを、あんなに強いとは思わなかったと言う場面があるのだけど。 これって、例えば母親になった女性が、母は強しと表現されることはあっても、恋人を、思っていたよりも、彼女（彼氏）は精神的に成長していた・成熟していると自覚するような描写があったドラマが、私、思いつきません。仕事とか勝負に敗れた彼氏（彼女）が、それを乗り越えるのを、強くなったなあと見るのではなく、これまで、好き好き一辺倒で、その人の奥底までは見ていなかったのを、距離を置くことで、相手の本質を理解できるようになる、という描写の繊細なとこは少女マンガに通じる。こういうとこも好みです。 大味なんてとんでもない、繊細で丁寧で、心のひだひだを描く、少女マンガ好きをうならせる良いドラマです。

太ったでしょ？と問うのに「かまわないわ」と答える、あるいは妊婦とも経験があると迫る、あるいは美しいと大きなお腹を触る、これって女性には二つに嬉しい。 ひとつ。歳を経ても、変わらず好きと思ってくれる。若い女の子はみずみずしくて良い、と思う私は女性ですが、好きな女性のことはずっと好きでいるやろうし、自分が男で同性の恋人がいたら、やっぱりずっと好きでいる気がする。（そういうのを愛好している意地もあるし。BL好き）でも男でヘテロだと、より素敵だと思う肢体に惹かれる気がするのだなあ。だからベットが、姿形が変わっても、ティナのことを想っていられるようであるのがとても嬉しい。 ふたつ。世間で聞かれる、妻の妊娠中に浮気とか、出産に立ち会ってセックスできなくなるとかに遭遇する可能性のある女性が、妊娠中の自分を愛してくれていると実感できることは、とても嬉しいことであると思う。夫とか恋人にそうして欲しいよね。

２０年ちかく前、本当に惨憺たる有様で心が弱くなっている時に、まず体はセックスして、そのあとゆっくり慰めてもらう・・・という表現を詠美ちゃんのエッセイで読んで、セックスしない恋愛というのはあるけど、セックスする友情というのもありなのか・・・！と目ウロコだったことがありました。心弱くなっている時に肌をあわせるというのは、よい慰めになると思うけど、それは優しく愛撫されるからだろう。 でも、女性同士だと、一方だけがされるばかりではないだろうし、男性が相手に欲望を打ち込むのは慰めになるような気がするけど、ひと夜の相手と肌をあわせて、ベットは癒されるのかなあ？友だちとか恋人にだっこしてもらう方がいいよう。 この巻のベットは、とても可哀そうなのである。

（往年の）少年愛が好きだった人は、少なからず性差に興味があるだろうし、性同一性障害も知り得たいことである。 先のレビューにも書いたのだけど、どちらかの性に生まれて、男の子に見られると恥ずかしいなあとか、女だけどマニッシュな服がかっこよくて好きとか思うのは、意識してないけど、やっぱり大きくなるうちに周りの環境に後天的に意識づけられてきたものだと思う。赤ちゃんのうちは自分の性なんて解ってなかったので、物心がついてから、自分は女だ、と思ったのだろう。 なので、自分の性が自分に解ったときに、どうして私男のカラダなんだろうとかオレ女じゃないとか思うのか、思いがいたらない。わからんなー。 それがわかる端緒になるかと、これ観たのだけど、だから演技が達者であれば、理解する助けになったと思うのだけど、女優さんの仕事はしてないのだろう、演技が拙いです。だから助けになりませんでした。

BS-iでやっていた「恋する日曜日」という枠の作品集なわけやね。３０分ドラマが２本、６０分ドラマが１本入ってます。 「ロンリィザウルス」内山理名は十人並みだけど、「嫌われ松子」の薄幸というと語弊がある、なんかなあというキャラにはぴったりでした。なので、このOL役もあってますし、定型ともいえるラストも、情緒好き・文学好きはよいです。腹に一物ありそうな役しかやらないと思えた北村一輝さんが、坊主頭だと意外にこういう役もできるのねと発見でした。 「電車」今まで思った以上に、掘北真希ちゃんが可愛くて。そこまで好きな顔ではなかったけど、この真希ちゃんはよい。 「STILL I'M-」いろいろ脚本書かなくてはならないなら、中にはこんなホンにならざるを得ないこともあろうけど、これをドラマにするくらいなら筆を折る（今回だけは）と思って欲しい。いいとこもあるのよ。でも最後まで観て、少しも幸せな気持ちにならなかったよ。

キャラクターが出てきたり、キャストの名前が出たりするオープニングタイトルのところがかっこよい。いっそうクールです。 ヒキで終わった、ベットとティナの関係はこじれたままだし、アリスの悶々をよそにデイナとトーニャは続いたままです。 ベット馬鹿ようっ！そんなにティナが好きなら、なんでキャンダスと、一線を越えたりしたのよっ！？浮気性の男ならともかく、「運命の相手」とまで思っとった女なのに・・・ そんで、また登場するレズビアンの人たちは、すがすがしく欲情するのだけど、うーん。好きな女の子を気持ちよくしたげたいと思って、二人でいい雰囲気の時に愛撫するのは解るのだけど、目をあわすなり、欲望に火がついて「今ここで貴女が欲しい」となるものなのか？　男性が、男性性器を挿入するのなら切迫感があるカンジがするけど、指と舌ならもちっと静かな時に優しくしてやりたい気がする。同性の方はどう思われるかなあ。

Lの世界Vol.４のレビュー、ティムがジェニーに憤りを感じても、偏向視せずキットとハナシをしてるというのは、ベットの間違いです。訂正。 さて、今までさんざん女の子たちを渡り歩いて、泣かせてきたシェーンは、シェリーのことを切に乞うていたのね。前の巻では、そこまで見切れず、いつものラブアフェアの相手かと思ってたよ。シェリーを求めて、声を振りしぼる場面は良かった。 デイナのことを実は想っていたのか、アリス？ずっと近くにいた相手のことが、いちばん好きだった、というのは、June初恋ものの王道なのでこれも良し。 でも、デイナはあんまり愛らしいルックスでないし、アリスとは合わないと思う。アリス役の人、贔屓の女優竹井みどりを思わせるので（受け口だから？）肩入れしてしまう。 シーズンの終わりなので一応段落が着くのかと思っていたのだけど、なるほど海外ドラマの１シーズンの終わりって、ヒキで終わるわけね。

RAHXEPHONの世界の設定が語られる巻。 今まで、説明的なシチュエーションは流して見てたので、綾人くんが、ラーゼフォンを操縦できる要員として東京ジュピターから連れてこられたというのを聴いて、そうやったのかーと思うくらい、ぽやっとしてました。声かわいー、いたいけー、とそっちに気をとられて。 なので、ハナシとしては膠着状態です。みんながエヴァ、エヴァというわけが分かった。設定は、似てるかー？分からん、と思っていたのだけど、アニメでも演出というのか？、表現？、描写？、展開？は同じ設定がありましたね。インナーワールドを描くのに、乗り物に乗ってる。 設定が（わたしは）判然としなくて、イライラしてるので、もう少し観ようと思ってます。長さだけは９巻まであって、充分だもんね。

ジャケ写と紹介文で、おお、これは・・・！と思って観たのですが、思ったようなのと違いました。でも、レビュー書いとかんと、観たの忘れてまた借りたりしちゃうので書いとこう。 まず、ひとつの話ではなくて、２０分強のショートドラマの４本立てです。４本に関連性はなくて、独立したドラマです。先の方のレビューであるみたいに、「一筋縄ではいかない」というのがぴったりですね。結ばれない、という共通項があるわけでもないので。 （昔日曜日２３時からの３０分ドラマ「泣きたい夜もある」は結ばれないという前提がありましたが。思い出して検索かけちゃった）

別のサイトのレビューで見て、関心を持ちました。 レビューで書かれているのってどれほどのものなの？と思いましたが、私はこれくらいの表現は大丈夫です。 効果が分かってのことと思うけど、飛び散る血の色も青味のある赤で（メイクでもあるけど、青味ピンクとか青がかっているものって、人工的で作り物めいた綺麗さがある）、もっと朱色がかっていると生っぽいと思うのかもしれないけど、アニメっぽく綺麗です。生ぐささがない。 手足の切断面も青味ピンクで、気持ち悪いとは思えません。 容赦なく人は死ぬけど、ヒロインは敵を殺傷する時は、別の人格に支配されている様子。こうなるに至った経緯と心理がちゃんと描写されると、面白いと思えると思います。説明されないと、殺戮シーンをポップに可愛く表現した面白いアニメです。 ああ、志摩子ちゃんの声、と思ったらそうでした。なんだ、印象的な声は区別つくのね。

中居くんがテレビドラマをしたのでなければ、原作も本編も観ることはなかったのだけど、原作も本編も観てよかった。 中居版ドラマは見てないのだけど、連続ドラマにできるようなのを２時間超とはいえ映画の尺にするのはこと足りるかなあ、と思ったのだが、巧みだねえ。 なるほど、時系列に並べずに発端の事件なんかは織り込んで、事件の経過をシーンとして撮影しては間尺にあわんというところは、文章で表現すればまとめられるし理解しやすい、わけだ。「模倣犯」そのほか、この長さ（の原作）を映画にできるか？と心配して、原作を好きで映画にしたとは思えないと落胆させられたものに思いをはせると、これ愛せます。 後半、父子の昔年の情景とコンサートの情景が、押し流されるようなクラシックの曲と相まって秀逸です。 原作は昭和３５年の新聞連載だそうで、この映画版とは時代が違うはずですね。また原作読むことにします。

絵を見るだけでも価値ありありで、３巻。 ロリ・清純派好みとしては、ピンク髪ショートカットの人がかわいー。性格はもっと優等生な方がいい。 ウィキペディアで概要はつかんだので、ここ辺を注意して観とくのだな、と。女子はやっぱり、恋要素がある方が感情が入りやすいです。 あと、声がねー。役者田島悠一郎が今度は、異相の世界に放り込まれたひたむきな少年を演じます、みたいで、面影がちらちらしていけねー。正体は描き割りと声優さんなのに。 山崎太一郎が好きで、でも広川太一郎さんの声は区別がつかなくて、速水奨さんの声は素敵だと思ったけど、低音男前ボイスの中ではきっと区別がつかないと思うのに、下野さんの声は判るようになった気がする。

「失われたと思わされていた外の世界」は、こんな風景知ってるはずないのに、知ってるような思いに誘われる。昔とーちゃんが、「夕焼けを見とると、この世の終わりに自分ひとり、みたいな気持ちにならんか？」なんぞと言ったことがあって、当時小学校低学年だった私は、ちゃらけた男なのにおもしろいことを言うものだと思ったのだけど、なるほど「暮色に染まるこの世の終わり」というのは、人の心にある原風景なのかも知れぬ。 綾人の声は、絵柄とキャラクターからはもうちょっと硬質な方がイメージなのだけど。下野さんのCVは可愛くて（時々ろれる）、でもそれが少年の脆い内面を表しているようでもあり。こういうテーマの主人公はもうちょっとタフだったり、すかしてたり、あるいはすれてたりするものなのよ。でもこの声なので、いとけない少年ががんばってる、いじらしい感じがして、耳が離せないの。

１巻のレビューで書いた、２巻では可愛い子キャラがうんぬん、のくだりはテレビでの再放送で見た１３話あたりのことでした。すみません。訂正。 んで、この‘ルルーシュ’、もとから深夜枠として製作されたアニメなのね。児童少年向けではなかったわけだ。だったらこの内容で納得です。 怜悧な美貌のルルーシュが、クロヴィスを憎み銃を向けるに至るのは、そうするだけの理由があって、理解できるものではある。だけど、人を殺した者は、命でそれを贖わなくてはならない、というようなことを吉田秋生先生が言っておられたように（だからアッシュの最期は決められてたのだろう）、人を殺すのは怖いし、人を殺すことができる人も怖いよ。 誰かを殺した人は、殺された人を愛していた人からは、どんなことをされてもいいだけの覚悟が要る。生涯、己のためには誰ひとりも殺さん、と思うのであった。あっち側に行くのは、どんなにか寄るべないことだろう・・・

それまでその気のなかった人が同性を好きになる、というのは、JUNEst、やおい好きーからすると、「運命の人に出遭ったらビビッときて好きにならずにいられない」として、定石なのだけど、実際そういうことって起こりえるのか？ 女性は、特に幼い時は、感傷趣味の生き物なので、告白されておちるというのはありそう。異性とするあれよりソフトな感じが、少女趣味に合いそう。 なのだけど、感傷趣味なだけに、歳を経て趣味を捨てるというのもありそう。女は現実主義者でもあるからな。 つーことは、男は欲情しないとセックスできないが、女は欲情しなくともセックスできる、ということですな。（自らする場合です。のぞく強姦・陵辱）　そういうとこが、男男間の方が純粋な感じがする。まだれの女なので、すみません、偏見です。 でも、Lの世界では、みなばんばん欲情しています。いっそすがすがしいくらいです。

外国のレズビアンの世界が描かれていて（でも、Lの世界の人たちは、ハイソ階級の人たちだよね。仕事に窮々してなくて、昼間からカフェに集まっておしゃべり）、そこも興味深くて楽しいのだけど、これドラマだから誇張してあるのだよね、きっと・・・　この街のコミュニティの中だけで、あっちでくっつき、こっちで別れて＿＿となっているので、Lの世界のレズビアンたちは欲望に忠実で、迫力があり過ぎるよー。 そんで、アメリカでもなかなか、TVドラマでこのモチーフを扱うのは難しかったようなのだけど、レズビアンの世界のことだけでなく、ベット姉妹とかデイナと両親とのとかの、肉親との情愛とか関係も描かれていて、そういうところも良い。 どきどきするとこも、どぎまぎするとこも、じーんとするとこもある、良いドラマだと思います。でも、肉感あふれるラブシーンは、ちょっと食傷気味になってきました。

ティムはいい奴だなあ。ジェニーがマリーナと一線を越えてるのを見て、ジェニーに裏切られたと怒るのは仕方のないことで、でもそれで、レズビアンの女性みんなを偏向視するわけではなく、冷静にキットと話をしている。いい人っ！ レズビアンの人たちは、同性に欲情するのだろうけど、うーん。純情可憐なアイドルを見て、モノにしたいと思うこともあるけど、それは男性性器をもってまぐわいたいと考えているカンジで、女のカラダでまぐわいたいわけではない。 では、女性に欲情しないかというと、ただひとりの女の子には欲情した、です。それはもう、穴という穴に舌を入れたい、と思うほどに。でも、だっこさせてくれるのならそれでいい、とも思った。 分からないのは、大人の恋をするレズビアンの人たちは、カップルになったら寝たい＝裸でいっしょに寝所に入りたいと思うのか、そして、寝たら愛の充足感を得られるのかということです。どうなんだろう？