こうひこうさんのレビュー

設定に飛躍があり突っ込み所も多いシチューエション・ムービー。 登場人物は非常に少なくゆったりとしたテンポで美しい風景と共に物語が進みます。 あらすじを読めばどういうイベントが起きるのかはほぼ想像がつくし、目新しさもありませんでしたが、空気感は好きです。 ただ、宗教色が強く解釈を観る者に委ねる面も大きい作品なので好き嫌いは出ると思われ、 私の場合は一回観る分には良かったけれど二回観たくなる映画ではないなあという感想です。

怪獣と怪獣並み（以上？）に強いドウェイン・ジョンソンが暴れるのを楽しむ映画です。 ジョンソン主演映画によくある大味で出来過ぎ感のあるストーリーなのですが、怪獣映画はこれくらい 単純明快で良いのかも。何も考えずに観られるしなかなか面白かったです。 怪獣が3頭だけなのは少し寂しかったけれど、見やすくて迫力のあるバトルシーンが撮れていると思います。

前作「生命の泉」よりは良かったと思いますが、やはり5作目ともなるとマンネリ感のあるシーンも多かったです。 マンネリ打破のため（？）新たに二人の準主役を登場させており、まずまずの魅力を出せていたとは思いますが、 やはり、オーランド・ブルームやキーラ・ナイトレイほどの存在感はまだ出せていなかった印象です。 ただ、カヤ・スコデラリオは美しさ（と谷間）ではナイトレイに負けていませんｗ クライマックスはなかなか良かったですが、シリーズ1作目から観ていないと（せめて3作目は必須） 感情移入できないまま終わってしまうと思います。

緊張感がある時間帯は結構あったし駄作ではないのだけれど、要所で外した感があります。 まず演技指導と演技力のどちらが悪いのか分からないけれど、ヒロインにおまいさん本当に恐がっているの？ と聞きたくなる場面が目立ちました（演技と全く関係ないけれどB級ホラー女優としてはかわいいです）。 次にゲームと言う基本設定をしたからにはルールを守らないと面白味を削ぎます。 あと焦らないといけない場面でのんびりキスしたり話したりなど展開が上手くない面があります。 雰囲気は良く作れていたので惜しい感はあるけれど、あと一歩とまでは言えずあと二歩なホラー映画でした。

製作費を少し上回る程度の興行収入しか挙げられなかったコケ作品ということで劇場鑑賞をパスしたのですが、 期待値が低かったせいか普通に面白いんですけれどという感想。 様々な地球外生命体・建築物等の映像は綺麗でデザインに惹かれるものも多く見ていて飽きなかったし、 主演も何を着せても似合う美男美女でビジュアル面は★5をつけても良い位（デハーンが32歳というのには驚きました）。 反面、大作の割にスケール感・緊張感のある戦闘シーンが少なかったし、主人公達を輝かせる脇役・敵役の存在がなかったかな。 原作があるからか内容・登場人物共に詰め込み過ぎで軸を絞り切れなかったのかも。 ストーリーは新鮮味こそないけれど普通程度には観られるものだし、ビジュアル面だけでも満足できたので私はこの評価にします。

悪く言えば金持ち爺さんの金と人脈にものを言わせた贖罪物語なのだけれど、そう思わせないのが監督とキャストの力量。 金も名声もありながら不器用なところを見せるアル・パチーノ演じるベテラン・ロッカーのキャラが好き。 彼と女ホテル支配人との掛け合い中心に円熟味のある演技が見られてご都合主義満載な展開ながらも気分の良い映画でした。 私自身は全くビートルズ（ジョン・レノン）に興味はありませんが、自分が最高に尊敬する人から 直筆の手紙をもらえれば人生が変わる（変えようとする意志が働く）という点は100％共感できます。 ベテラン俳優たちの演技を堪能する映画なので字幕がお薦めです。

軽めの役のミシェル・モナハン目当てで鑑賞しましたが、作品としてはハズレ気味。 結婚式をぶち壊す王道ラブコメではあるのですが、当日にぶち壊す説得力がないので何の落ち度もない花婿が可哀想。 アメリカ映画に時々見られる他国（本作ではスコットランド）人や風習をおちょくったような描写が多い点もあまり感心できません。 チャラ男を主人公にして軽いノリで攻めているにしては笑えるポイントが少ない。 むしろ僅かな尺のシリアス部分の方が共感できる点がありました。

コメディ部分はアトキンソンのドジネタが中心。 意外にまともなストーリーで仮にダニエル・クレイグが主演でもそれなりに観れそうなものですし、 秘密兵器（乗り物）にも本家のようにそれぞれ見せ場があります。 コメディアクション共に中途半端な面はあって、すごく笑えるわけでもドキドキできるわけでもないけれど、 バランスの取れたスパイコメディでタイトルの通り気休めになる癒し映画でした。

脚本とテンポが抜群で、並行世界に関わる大胆な仮説さえ受け入れられれば楽しめる作品です。 同じような場面が何回もループするのですが、その度に少しずつ犯人に近づいたり、主人公が置かれている状況の種明しがあるので 全く飽きることがなかった。クライマックスが少々難解で二度見しましたが、それまでの出来もラストも秀逸でした。 時空間を題材にする作品はどうしても矛盾点や疑問点が残るものですが、細かいことに気づいて幻滅するのが嫌 （「インターステラー」などは調べ過ぎて幻滅してしまった）なので、本作の並行世界を詳説している読み物は見ないつもりです。 そう思わせた監督・キャストの勝ちです。

フランス革命前後のスペインが舞台。ゴヤの眼を通して見たロレンソ神父が主人公という事になるでしょうか。 権力の栄枯盛衰を描いたストーリーそのものは良いのですが、史劇の主人公としては神父では小者過ぎた印象。 他人の人生を狂わせた悪役に違いないのですが、この時代の権力者として特筆すべきほどの悪事を働いたわけでもないし、 逆に権力を利用して何らかの事績を残したわけでもありません。 そのようなモラルも信念も欠如した風見鶏的権力者に魅力も嫌悪も悲哀も感じませんでした。 ポートマン演じるイネスを主人公に据えた方が歴史に翻弄された人間の悲哀を感じる史劇になったかも分かりません。

監督（兼脚本）が当時19歳だったそうで、構成等高く評価されている理由は分かるのですが、兄妹の「秘密」は他のものに出来なかったかなあと。 優等生ながらも家庭内では妹をレ○プして妊娠させたうえに逆ギレする兄が鬼畜過ぎで、ただ泣いて耐えているだけの妹が哀れ過ぎ。 この犯罪の不快さに神経がやられてしまって、本作がフォーカスしているはずの女子高生の自殺が些細な事に感じてしまいました。 別に映画の登場人物にモラルを求めているわけではなく、必要ならどんな設定でも利用すればいいと思いますが、本作の場合不必要な箇所に 度が過ぎた設定をしたせいで原題の「2：37」の死を描く意味を毀損してしまったんじゃないか？…というのが私の感想であり疑問です。 ただ、その点を除けばテーマも伏線もしっかりした映画であることも確かなので真ん中評価にしました。鑑賞後の気分は最悪ですけれどねｗ

表題の通りです。CG（合成）、脚本ともひどいもので滅多にお目にかかれないレベルの駄作でした。

謎解きや犯人は誰だ？的要素は薄いけれど、猟奇殺人の捜査を軸にしながら泥臭くも深い人間ドラマを絡めた見応えのある作品でした。 コール刑事の話に哲学的なものが多くテンポの良さで勝負する作品でもないので、観ていて疲れる時もあったのですが、 3話あたりからぐっと緊張感と中毒性が増す展開になって一気見衝動が湧きました。 アメドラとしては比較的手軽な8話完結（シーズン2はキャストを見れば分かる通り全く別の話だそうです）なのも良く、 人物名さえ整理して観れば人物関係や過去のイベントについて失念したり混乱することもなかったです。キャスティングも文句なし。 重く渇いた空気感に妙に惹きつけられる大人向けのアメドラでした。

アメコミ映画は好きですが、このジャンルにハリウッドの大作（＝金銭的人的資源）が集中気味なのは正直快く思っていません。 しかし、面白いものはやはり面白く本作の大ヒットでまだまだアメコミ（特にMCU）全盛期が続きそうで複雑な気分。 マーベルらしくこれまでの作品を無駄にすることも破綻させることもない脚本で仕事してきました。 ヒーロー集合物なので個々の扱いに不満点はありますし、続編前提の作品なのでラストはすっきりしませんがこれは仕方がないでしょう。 ヒーローの人数に見合った見せ場の連続で敵も強いし飽きがこない展開です。ただ、小さい子供には辛い場面があるかも。 問題は一年後の続編ですね。オチ予想がつくこのシナリオで白けない様にまとめることができるのでしょうか？ なお、マーベルの集大成・ファン向け的作品であり登場人物や過去の経緯等の説明はないに等しく、単体で観ることはお薦めできません。

監督は寡作の巨匠と言われており大スターが出演を熱望するとの宣伝文句。キャストを見る限りまんざら嘘でもなさそうです。 しかし内容は哲学的抽象的で分かる人にしか分からないという感じのもので、自分もよく分かりませんでした。 静止画を集めれば写真集にできそうな映像の美しさは本当に良く、また、新旧の贔屓女優が出演していたので 早送りをする気にはなりませんでしたがお薦めはし辛いです。

酷い家庭環境で育つ三姉妹を描いています。とは言っても大部分はジェニロー演じる長女の話。 淡々と少女達の日常的風景を描いているだけで、作品の軸が分かりづらい辛気臭いシーンが中盤まで続きました。 しかし、とある事件以後の終盤の展開が良くそれまでの停滞感は一掃。 この環境下にあっても身を持ち崩さなかった少女の強さと最後に明かされる事実で後味は晴れ晴れとしたものになりました。 構成や脚本はさほど良いと思えず、ジェニローの演技（とクロエちゃんの可愛さ）あってこそ観られる作品の感は否めませんが 悪くはなかったです。

とにかくあらゆる要素が過激で特にブラック度・不謹慎度は現時点自分史上最高のコメディかも。 差別的用語やモラルに欠けるネタが多く観ていて引いてしまうシーンも多いのだけれど、 それ以上に笑ってしまうシーンも多いという評価に困る作品。 独裁者や民主主義への風刺はあるのですが、演出が強烈過ぎてそこを評価するのも難しい。 かなり笑ってしまったので★4にしますが、知人にこれ面白いよとはなかなか言い辛い映画です。