こうひこうさんのレビュー

主演は「ドント・ブリーズ」のディラン・ミネットですが、ジャック・ブラックの出番も十分で 彼の出演作品によく見られる温かさも感じられました。この人ならではの魅力です。 ブラック演じるスタインの存在感に若手が押され気味で、主人公ザックの成長やヒロインのハンナの秘話の印象が いまひとつだったのは惜しい所ですが、王道ファンタジーとしてのツボをおおむね抑えた作りで面白かったです。

パッケージからダコタがドンパチする西部劇かなあと、また、キット・ハリントンやNextエマ・ワトソンと 持て囃されているエミリア・ジョーンズも出演しているしとミーハーな動機で観たらかなりきつい内容のドラマでした。 残酷になり過ぎない程度に描写は手加減していますが女性が虐げられるシーンが多く、女性は勿論男でも引くレベル。 軸になるテーマもあり真面目に作っているのは分かるので好意的に解釈したいとは思うのですが、 なんせ酷い話を延々見せられるので精神的にきついものがありました。 ただ、148分と長めながらもガイ・ダコタ・エミリア3人の演技や徐々に主人公らの過去を明かしていく構成など 見せる力がある作品だとは思いましたので、★3という事にしておきます。

音楽、薄暗い映像、丁寧な人物描写で硬派な雰囲気作りは上手く出来ていて、途中までは どういうオチになるのか楽しみな時間帯もあったのですが、結論パンチも捻りもなかったです。 静かな緊張感があったし見て損した感はないのですが、これだけ淡々と撮られてあっさりした結末だと 面白いまたは印象に残るというところまでは行きません。 ヒットマン（アボット）や悪女（プーツ）もそれなりの味は出せていましたが、ストーリーや設定上 中途半端なキャラにとどまってしまったので、もっと悪くて狡賢いところが見てみたかったです。★2+。

ざっくり言えば純情な不倫ものですね。オープンな不倫は欧米の文学作品などで見かけるので 受けつけないという程ではありませんが、進んで映画で観たい題材でもありません。 しかし、そういう題材を（けしからんと思う人にとっても）観られるものに創作するのが 監督や俳優の腕の見せ所であり映画の面白味とするなら、成功している方に分類される作品だと思います。 この手の作品にありがちな軽薄さを感じられない脚本と脇役含めた登場人物の設定によって 切なさすら感じられるストーリーに仕上がっています。

徐々に盛り上がる展開が良く、ベテラン運転手と駆け出し車掌との交流も熱いし、 アクションシーンはスピード感も臨場感もあり。単純明快ながら面白い映画でした。 ドンパチ、カーアクション、アメコミ系のアクション映画を見飽きた時に良いかも。 実話に着想を得て製作という旨のテロップが最初に流れていたので嘘だろと思って調べたら 本当にあった事故（CSX8888号暴走事故）でした。もちろん脚色は施していますが、 演出過剰に過ぎてかえって浅く感じた家族再生話以外は作品を面白くするのに成功していると思います。

突っ込みどころは多いものの独創性のあるストーリーは悪くなかったです。 劇中で「こまけえことは聞くな」という旨をブルース・ウィリスが主人公に（恐らく観客に向けても） 釘を刺してくれますので、ここは素直に観ましたｗ ただ、タイムループ、念力、宙を浮くバイクなどのSF要素があるのに予算の制約からか世界観の描写がチープなのは残念で、 ゲームの雑魚キャラ以下のような敵との銃撃戦や逃げてくれと言わんばかりの拘束にも白けました。トータル平均点位です。

セロンはいつもながら徹底した役作りをして女スパイを演じていますし、 アクションシーンは男でもなかなかここまで出来ないだろうという迫真のもの。 部分的にスタントを使っているとしても驚くしかありません。 ただし、とにかく伏線の張り方が粗いストーリー展開は疲れさせられるだけで面白くない。 1回目よく分からなかったので2回観ましたがストーリー部分の感想は変わらず。 逆に言えばセロンの演技・アクションだけでも観られる映画ではありました。

洞窟探検という共通点から「ディセント」とよく比較されているようですが、怖い映画見たいけれど きついグロは苦手と言う場合には本作、グロ耐性があるなら「ディセント」という感じでしょうか？ 本作の方がそれなりにお金をかけているのでキャストに知った名前が多いし映像も綺麗ですが、 私はありきたりのストーリー、緊張感、モンスターの造形いずれも物足りなく感じました。

今ではバッドエンド映画として有名になってしまいましたが、昔、普通のホラー映画 だと思って一回目鑑賞した時はあまりの後味の悪さにレンタルを後悔しました。 娯楽作品としてのボーダーラインを超えてしまった作品でとにかく観る者に不快感を与える要素が満載。 子供を想うあまり八つ当たりするお母さん、自信過剰の弁護士、扇動宗教家、狼狽し洗脳される人々に 極めつけのラスト。自分が同じ立場だったらという仮定を棚に上げてイライラさせられます。 ただ、改めて見直すと全部製作側の計算づくということが理解できますし、オチが分かるまでは面白い。 それに胸糞悪い映画として忘れられないのも確かですからある意味映画として成功しているんですね。 二回目だと余裕を持って観られますので、いっそのこと宗教家も生き残らせれば更に後味が悪くなったのにｗ と良からぬことを考えてしまいます。

自分の中ではディザスタームービーとしてアルマゲドンとほぼ同じ評価です。あちらの方がキャストは豪華ですけれどね。 ドラマ部分が観られたもんじゃない作品も多いジャンルですが、本作はそのあたり割としっかり描けていたと思います。 イライジャ・ウッドの演じる青年編だけは受けつけないと思っていたら同じ感想を持った方もいたようで一安心ｗ 選民思想を匂わせるシーンはやりきれないですが、なければないでぬるい映画になってしまうので 本作の設定では個人的に必要な場面だったと思います。 20年前の作品なので映像は陳腐ですが、特撮が肝の作品と言うわけではないのでそれほど気になりませんでした。

前作がモンスター・スプラッターパニックだとするなら本作はモンスター・スプラッターコメディですかね？ 悲鳴を上げるお兄さんお姉さんはちゃんと出てきますが、中盤以降は悪ノリ気味のグロいおバカ映画です。 「そういう」B級映画と分かって観る分には笑える（くだらな過ぎて出る苦笑い含む）場面は結構あって 私は嫌いになれませんが、なんせ本国でも日本でも評価が低い映画なので地雷覚悟で観て下さい。

マルコ君を間接的に殺したのは麻薬中毒の実母と取引した検察ですよね。刑期を短縮できる母親が取引に 応じたのは分かりますが、検察側の動機はゲイを隠していた元部下に嫌がらせをしたかったという事でしょうか？ もちろん検察も母親も責任なんか取りません。法的には責任がないのでしょうが理不尽な話です。 二人がマルコ君に対して深い愛情を持つに至るまでの経緯の描写は浅かったけれど、 偏見はいけないよという事を訴えるドラマとしては説得力があります。 ただ、検察の麻薬中毒者以上にゲイを憎むという歪んだ動機は時代背景を考慮しても納得しにくいし、 マルコ君を自殺同然の形で死なせる脚色を施した点は好きになれません （本作は実話に基づいているとは言えません。ほぼ創作物語です）。

大味なギャグが多いながらも平均点位に笑えるポイントはありましたが、 二人のパパの愛情争奪戦がコミカルと言うより子供っぽく、見ていて痛々しくなる場面も多くて コメディとしては見心地が悪かったです。バスケ観戦のシーンはドン引き。 オチは上手くまとめているけれど、それまでのマイナスを挽回するほどではありませんでした。

エロス作品なの？と言いたくなる序盤、女性の生まれた環境や国と照らし複雑な感情を持たせる中盤、 切なさとやりきれなさが混じる終盤。一言や二言では言い表せない映画です。 原作がしっかりしているからでしょうが、出来の良いドラマだと思います。 ただ、好きな映画かと聞かれたら否です。この女性に他の生き方ができたかどうか考えてしまうからです。

ハニートラップを手段とする女スパイが主人公ですが、アクションや官能的なシーンは僅かです。 悪く言えば陽性の娯楽性に欠ける作品で、きつめのグロ・拷問描写もありますから苦手な方は御注意を。 一方、主人公が飛び込まざるを得なかった世界の過酷さを表す養成所の描写、 覚悟を決めた女の凄みが伝わるジェニローの演技、誰が優位に立っているのか分からない 駆け引きは、重厚なストーリーも伴って見応えがありました。 不親切な（と私は思う）位に展開が速い箇所もあって話に置いて行かれないようにするのが大変でしたし 満足感のあるどんでん返しもありませんでしたが、安っぽさのないスパイ映画で私は好きです。

前作のような序盤の冗長さはなく、サイコ野郎があらゆる手段で旅行者達を追い詰めます。 アクション映画的要素を追加して面白くなった一方で、スプラッター要素も増してしまいげんなりさせられた場面もあり。 まあグロが弱くても怖くないし万人の適度な度合にするのは不可能ですから、ホラーを観る以上は仕方がないです。 前作から引き継がれた嫌悪感を抱かせるミックのキャラ設定とスナイパー能力はサイコホラーとして上手いと思う。 肩透かし気味のラストは何とかならなかったかなあというところで★3＋。 スプラッター要素は勘弁ですが予定されている続編がDVD化されたら観てしまうでしょうね。

賞金稼ぎが別れた妻を捕まえたり逃げられたりしていた序盤はまずまず面白かったのですが、 中盤以降から（元）夫婦のやり取りがつまらなくなります。 コメディタッチに夫婦再生を描きたかったのでしょうが脚本が伴っていないから退屈でした。

バーの健康的で陽気な美女達の小気味よい会話とダンスは観ているだけで楽しくなるもの。 BGMやアメリカンな騒ぎ方に好き嫌いは出るでしょうが私的には★5。主人公の歌が吹替なのも気になりません。 一方、肝心の終盤の進行が軽過ぎで三文芝居のような演出が目立ち、サクセスストーリーとしての出来は良くないです。 この手の映画には平均レベルの脚本さえあれば十分なのに…バーのシーンが良かっただけに惜しいです。

ストーリー作りは上手いしスリリングな展開もあります。携帯電話の活かし方やあるある話 （今では陳腐化している点もありますが）や退職を控えた警官の本編への絡ませ方は絶妙でした。 惜しいのは普通の青年が何故赤の他人のためにあそこまで無茶できるのか上手く描けていなかったところ。 本作の様な本格サスペンスにチャラ男というキャラ設定が合っていたのかどうか疑問で、 キャラにそぐわない正義感や勇敢な行動の説明がつかないから話に乗りきれない面もありました。 でもトータルで観て損はないサスペンス映画です。

女必殺仕事人的な鉄板の設定でよくこれだけつまらん作品撮れたなあと感心しました。 主人公にも育ての親にも何故世を正すことを使命とするのかという説明が不足しているし、 そのような突っ込みを許さぬ程のキャラ・雰囲気作りもないので話に乗れません。 敵役の胸糞悪さだけは平均点ですが肝心のアクション・成敗シーンにキレがない上に わざわざ緊張感をなくすような小細工をしていて白けました。 ブレスリンはアクション映画の女性主人公としてはミスキャストだったと思います。 なお、パッケージには第79回アカデミー賞助演女優賞とありますが、10年以上前の 子役時代の話の上にブレスリンはノミネート止まりです。